(クレジット:Miu Shimizu & SGH Moriyama High School)
Proxima Centauri b は、赤色矮星である Proxima Centauri の周りのハビタブルゾーンを回る、地球サイズの系外惑星です。半径は地球よりもわずかに大きいだけであるため、地球と似た岩石惑星である可能性が高いと考えられます。2016年8月にヨーロッパ南天天文台により、視線速度法を用いて発見されました。地球からわずか 4.22 光年の位置にあり、現在までに発見されている系外惑星の中で、太陽系から最も近い惑星です。
<発見直後に描いてもらったイラスト>
(クレジット:Shione Fujita & SGH Moriyama High School)
中心星の Proxima Centauri は、M 型矮星とよばれる太陽よりも小さく暗い恒星であるため、ハビタブルゾーンの位置は太陽型星と比べてはるかに中心星の近くにきます。そのためこの惑星も、中心星からわずか 750万km の位置を周回しています(ちなみに地球は太陽から 1億5,000万km のいちを周回しています)。なお、ハビタブルゾーンが中心星の近くにあるばあい、その中に位置する惑星は中心星に対して「潮汐ロック」されている可能性が高く、中心星に対して常に同じ面を向けていることが予想されます。
また中心星の Proxima Centauri は、星全体がフレアを起こすことで急激に増光する「フレア星」であることがわかっています。Proxima Centauri b は、中心星との距離が 0.05 AU(地球-太陽間の距離 = 1AU)と非常に近いため、フレアが起きた際には、高エネルギー粒子や X 線などが大量に地表に降り注ぐことになります。残念ながら、生命が存在するには厳しい環境かもしれません。
しかし、もしもこの惑星上に知的生命が住んでいたとしたら、電磁波を使えば数年程度で交信を行うことが可能です。人類にとって初めての地球外生命体との「コンタクト」が、近い将来実現されるかもしれません(!?)
(文責:佐々木貴教)
(Imaginary Picture of Proxima Centauri b, credit, Fuka Takagi & Yosuke Yamashiki, created using Planet Generator and OpenGL)
(ExoKyoto Stellar Window を用いて天球上に表示した Proxima Cen b)
Proxima Centauri b についての詳しい情報はこちら。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Proxima_Cen_b.html
ジャーナル記事
1.) THE HABITABILITY OF PROXIMA CENTAURI B I: EVOLUTIONARY SCENARIOS
2.) The habitability of Proxima Centauri b II. Possible climates and observability
3.) A terrestrial planet candidate in a temperate orbit around Proxima Centauri
WEB記事
1.) The habitability of Proxima Centauri b
2.) An Earth-like Atmosphere May Not Survive Proxima b’s Orbit
3.) Superflare Blasts Proxima b, the Nearest Exoplanet, Dimming Hopes of Life