<Imaginary Picture of HD189733 b, Credit Daichi Ogawa, SGH Moriyama High School>
HD 189733 b は 2005 年に発見された木星サイズの太陽系外惑星で、こぎつね座 HD 189733 A 星の周りを 2.22 日の周期で回っています。太陽系からの距離は 62.9 光年(19.3 pc)です。軌道が主星から非常に近い「ホット・ジュピター」の一つで、恒星の重力により常に一つの面を主星に向けています。
https://www.nasa.gov/mission_pages/spitzer/multimedia/A-Knutson-surface.html
またこの天体は太陽系からの距離が比較的近いため、様々な観測によりその詳細な性質が調べられているのが特徴です。2007 年、スピッツァー宇宙望遠鏡の観測で、惑星表面の温度分布が観測されました。それによると、最も温度が高い場所は惑星表面で主星が真上に見える場所と 30 度ほど東にずれている事が分かりました。この事から、HD 189733 b では激しい風が吹いていて、熱を運んでいるのだと考えられています。ちなみにこの研究は、史上初の太陽系外惑星表面の「地図」の発表としても有名になりました。
(Image Credit: Ryusuke Kuroki, Yosuke Yamashiki & Natsuki Hosono)
さらに2013年にはハッブル宇宙望遠鏡の観測により、惑星が中心の星の裏側を通り隠れる際に青色の波長の光だけが弱くなることから、この惑星の色が青色であることが分かりました。
これは水の海があるからではなく、大気中に存在するケイ酸塩粒子が高温ゆえにガラスの雨粒の様になっており、これが中心の星からの光を散乱することで青く輝いています。
同じく 2013 年にはチリの Very Large Telescope による波長分解能の高い詳細な観測から、惑星自体の H2O, CO ガス輝線放射が検出されたことでも話題になりました。そのほかこの年には、NASA のチャンドラと欧州の XMM ニュートンという2つの X 線天文衛星でこの天体を観測することにより、太陽系外の恒星の手前をその星を公転する系外惑星が横切る「トランジット」が、X 線で初めて検出されています。
(文責:野津翔太)
(Position in Stellar Map of star HD 189733 and its Exoplanet HD 189733 b)
(Zoomed position in Stellar Map of star HD 189733 and its Exoplanet HD 189733 b (zoom level 3))
HD 189733 b についての詳しい情報はこちら。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/HD_189733_b.html