Kepler-1649 c
Kepler-1649 cの想像図 (自転している海洋惑星を仮定)
Kepler-1649 cは、テキサス大学オースチン校のAndrew Vanderburgらによる Kepler宇宙望遠鏡ライトカーブの再解析(1)によって発見された、ほぼ地球サイズと考えられる太陽系外惑星である。大きさは、半径が地球の1.06倍、ExoKyotoによる推定質量は地球の1.21倍である(トランジット法による観測のため質量は測定されていない)。中心星のKepler-1649 は、太陽系から約300光年の位置に存在し、表面温度3240KのM5V型の赤色矮星で、半径は太陽の25%、質量は太陽の21.9%と見積もられている。この赤色矮星のまわり、0.0855天文単位(128万キロ)を19.5日で一周する。推定黒体温度は、論文(1)によると234 +-20K で、Kepler-1649 cのアルベドを地球と同じ0.3と仮定すると、245.39 Kとなり、ほぼ地球の黒体温度(255 ケルビン)と同じであり、大気圧や成分が地球と類似であれば地球ににた環境となる可能性が高い。
ただし、赤色矮星の近傍を公転している関係上、おそらく潮汐ロックされているであろう。また、表面から見える光は、地球からの太陽光と大きく異なり、赤外線が90%、可視光線成分はわずか8.87%である(ExoKyotoによる).
極紫外線を含む紫外線は0.17%と見積もられているが、フレアの発生頻度の解析とともに、さらに詳細な観測が必要である。本惑星が本当にハビタブルであるかどうかの判定には、極紫外線がそれほど強くなく、大気の散逸がそれほど顕著でなく、地球程度の大気圧を有していることが必要である。もしKepler-1634 がフレア星で強い極紫外線を放っていたとすれば、大気が剥ぎ取られ、恒星との距離が近い(0.055天文単位)ため、フレアの影響で生命の居住は困難になると考えられる(2)(3)(4)。
Kepler-1649 cは中心星 Kepler-1649のハビタブルゾーンに位置し、Kopparapu et al. 2013を用いると、ちょうど暴走温室限界の外側に位置する。
ExoKyoto スペクトルモジュールによるホスト星Kepler-1649からの推定スペクトル。これによると、赤外線90.95%、可視光線8.87%、紫外線0.17%である。すなわち、地球に比べて光が弱く、赤っぽい色に照らされていると考えられる。図では青線が紫と紫外線の境界線(380nm)で、赤線が赤色と赤外線の境界線(760nm)であり、恒星からの輻射スペクトルのピークは赤外線領域にある。
Kepler-1649cについてのより詳しいデータは以下のデータベースページをご参考に。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-1649_cJP.html
(文責・山敷庸亮)
References
(1) Andrew Vanderburg et al. A Habitable-zone Earth-sized Planet Rescued from False Positive Status, The Astrophysical Journal Letters, Volume 893, Number 1 https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab84e5
(2) Yosuke A. Yamashiki, H. Maehara, Vladimir Airapetian, Yuta Notsu, Tatsuhiko Sato et al. Impact of Stellar Superflares on Planetary Habitability, The Astrophysical Journal, Volume 881, Number 2 https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab2a71/meta
(3) 生命が居住可能な系外惑星へのスーパーフレアの影響を算出 -ハビタブル惑星における宇宙線被ばくの定量化に成功- http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/190716_1.html
(4) M型星はやっぱりつらい。スーパーフレアが系外惑星に与える影響を世界で初めて定量化 https://sorae.info/030201/2019_7_16_m.html