月: 2024年1月

TOI-174系

Imaginary Illustration of TOI-174 b

Imaginary Illustration of TOI-174

TOI-174は、地球から127光年離れた恒星です。このTOI-174には5つの系外惑星があり、スーパーアース、スーパーマーキュリーである可能性が高いです。

トランジット系外惑星探索衛星(TESS)(NASAのエクスプローラー計画で打ち上げられた宇宙望遠。ケプラー宇宙望遠鏡の400倍の面積を、トランジット法を用いて観測することで太陽系外惑星を探索することをミッションとする。2018年打ち上げ)によるトランジット法を用いた観測によって「TOI-174.01」「TOI-174.02」の2つの惑星候補が存在する可能性が示されました。

その後、2019年に、高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)(ヨーロッパ南天天文台 (ESO) が2003年から運用している太陽系外惑星の観測装置)によるドップラー分光法を用いたフォローアップ観測でTOI-174.01とTOI-174.02の2つの惑星候補の存在が確認され、それぞれ「TOI-174 b」「TOI-174 c」とし名づけられました。

公転周期はそれぞれ約17.7日、約29.8日で、これらの惑星のトランジットの深さはそれぞれ663±48 ppm、627±61 ppmです。

これらの惑星が確認された後、2019年に「TOI-174.03」「TOI-174.04」「TOI-174.05」が存在する可能性が示されました。

2022年9月27日、ESPRESSO(ヨーロッパ南天天文台のVLTに搭載されたエシェル分光器)によるドップラー分光法を用いたフォローアップ観測でこれら「TOI-174.03」「TOI-174.04」「TOI-174.05」3つの惑星の存在が確認されました。公転周期が短いものからTOI-174.04が「TOI-174 d」、TOI-174.05が「TOI-174 e」、TOI-174.03が「TOI-174 f」と名付けられました。

また、研究によりbとcとfは地球の数倍~10倍程度の質量を持つ地球型惑星「スーパーアース」であるとされました。さらに、dとeは、太陽系の水星に似た組成をしており、水星より大きな質量をもっている「スーパーマーキュリー」である可能性が高いことが示されました。

TOI-174系の発見年とそのプロジェクトのまとめ

TOI-174系の基本情報

参考文献

NASA, EXOPLANET CATALOG HD 23472b from https://exoplanets.nasa.gov/exoplanet-catalog/7338/hd-23472-b/

IAC, Astronomers discover a planetary system with three super-Earths and two super-Mercuries, from https://www.iac.es/en/outreach/news/astronomers-discover-planetary-system-three-super-earths-and-two-super-mercuries

Ia, Two rare super-mercuries discovered around the same star from https://divulgacao.iastro.pt/en/2022/09/27/hd23472-eng/

Weblio, TOI-174, from https://www.weblio.jp/wkpja/content/TOI-174_TOI-174%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81

(文責:新原)

TOI-174系の詳細な情報についてはこちら(恒星の詳細なページからも各惑星の詳細なページに移行できます。)

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/TOI-174JP.html

K2-141 b

K2-141 b は、太陽系から 202.2 光年( パーセク)離れた恒星K2-141 を周回する系外惑星で 2018 年に公開されました.恒星 K2-141 は視等級 11.5, 絶対等級 7.5 です。この恒星は太陽の 0.7 倍の質量で、 半径は太陽の0.7 倍であり 表面温度は 4599 で、スペクトル型は K4です。この恒星の惑星系で K2-141 b は、恒星 K2-141 のまわりを 公転周期0.3 日で、 軌道長半径 0.01 天文単位 ( 1117678.6 km)で公転しています。

 

K2-141 bは、地球の約1.5倍の直径と地球の約5倍の質量をもつSuper Earthサイズの系外惑星です。主星であるK2-141は、半径、質量ともに太陽の約0.7倍であり、地球から約202光年離れた場所にあります。公転周期は約0.28日で、軌道長半径約0.01天文単位で公転しています。主星K2-141のハビタブルゾーンの内側境界(金星相当放射を受ける軌道半径)は0.312天文単位であり、 K2-141 bはハビタブルゾーンのかなり内側を公転していると言えます。

 

マギル大学らによる研究グループによると、K2-141 bは自転と公転の周期が同期した潮汐ロックの状態にあると見られています。そのため、主星から常に照らされている昼側の温度は摂氏3000度、反対の夜側の温度は摂氏マイナス200度に至ると見られており、表面には深さ約100kmのマグマオーシャンが広がっていると推定されています。

この惑星の昼側の部分では、岩石が蒸発するのに十分なほど高温なため、ナトリウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素といった岩石を構成する物質が蒸発して大気を構成していると考えられています。同研究グループによるシミュレーションの結果、これらの物質は風によって夜側に運ばれ、冷やされて凝縮し、岩石の雨となって地上のマグマの海に降り注ぐことで岩石の循環が生じていることが予測されました。しかし、この岩石のこの岩石の循環の速度は非常に遅く、時間の経過によって惑星の組成は変化するため、いずれは全く異なる大気や表面を形成するもしれません。このシミュレーションの結果は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって確認されることが期待されており、高温の惑星における岩石の組成の時間変化を知るための大きな手がかりになるかもしれません。

(文責:可児)

 

K2-141 bについての詳細な情報はこちら

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/K2-141_bJP.html