(Imaginary Picture of HD149026b, credit Yosuke Yamashiki, Ryusuke Kuroki & Netsuki Hosono)
HD 149026 b は、ヘルクレス座に位置する HD 149026 の周りを回る系外惑星です。2005 年に、佐藤文衛らによって、すばる望遠鏡とケック望遠鏡の視線速度法を用いた観測によって発見されました。
(クレジット:NASA/JPL-Caltech)
HD 149026 b は、トランジットをしていたためにその後の観測で半径を測ることができました。その結果、質量が木星の 0.36 倍、半径が木星の 0.725 倍で、大きさの割にはかなり高密度(1.6 g/cm3;土星の2倍以上の密度)な惑星であることがわかったのです。そのため、地球の 67 倍という大質量の中心核を持った、高温の巨大ガス惑星だと推測されています。
実は、一般的な惑星形成理論のもとでは、これほど大きな中心核を持つガス惑星を作るのは困難だと考えられています。というのも、惑星形成段階において天体が地球の 10 倍程度まで大きくなると、周囲の原始惑星系円盤ガスを重力的に捕獲し、一気にガス惑星まで成長してしまうと考えられているためです。一度ガス惑星まで成長してしまうと、その後に大量の固体物質をその内側に取り込むことは困難であると思われており、なぜガス惑星になってしまう前に大質量の中心核を形成することができたのか、大きな謎となっています。HD 149026 b がどのようにして形成されたのかについては、現在も活発な議論が進められているところです。
ちなみに、2015 年に国際天文学連合によって、いつくかの系外惑星系について名前の公募と投票が行われました。投票の結果、中心星 HD 149026 には「Ogma」、惑星 HD 149026 b には「Smertrios」という名前が付けられることになりました。
(文責:佐々木貴教)
(ExoKyoto Stellar Windowを用いて天球上に表示したHD149026)
HD 149026 b についての詳しい情報はこちら。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/HD_149026_b.html