ケプラー90はスペクトルがG型の主系列星で、地球から2545光年も離れたりゅう座に位置してい ます。
質量、体積はそれぞれ太陽のおよそ1.13倍、1.2倍です。 太陽は表面温度が5778ケルビン、年齢がおよそ46億年であるのに対し、Kepler-90は表面温度 は5930ケルビンで、年齢がおよそ20億年であると推定されています。Kepler-90の見かけの等級は14で、人間の目では暗すぎて見えません。
<図1 Kepler-90の想像図 Image credit Fuka Takagi & Yosuke A. Yamashiki>
Kepler-90の注目すべき点は、太陽系と同じ数の惑星が見つかっていることです。 惑星が8個見つかっている恒星は太陽とKepler-90だけで、最多記録です。
<図2 Kepler-90惑星系 ExoKyoto Applicationを利用>
2017年11月14日、NASAとGoogleはKepler-90系において8番目の惑星Kepler-90iを見つけ たと発表しました。 Kepler-90iは、ケプラー宇宙望遠鏡から得られたデータをGoogleが開発した新しい機械学習シ ステムを用いて解析して発見されました。 NASAは同じシステムでケプラー80gという惑星も発見しています。
<図3 Kepler-90iの想像図 Image Credit Ryusuke Kuroki, Yosuke A. Yamashiki>
Kepler-90の惑星系の構造は太陽系に似ています。 内側の6個の惑星はどれも地球より少し大きいか、海王星よりも少し小さいくらいの岩石惑星で、 外側の二つの惑星は大きなガス惑星です。 特に一番外側の木星サイズの惑星Kepler-90hは、地球太陽間の距離と同じ距離(1.01 AU)で中心星Kepler-90の周りを公転周期331日でまわっています。
もちろん、太陽系とは違う部分もあります。Kepler-90の8個の惑星のうち最も外側にある惑星の軌道半径は地球の軌道半径とだいたい同じ になって、8個の惑星が太陽系の惑星よりもはるかに狭い範囲に押し込められています。 内側の惑星の軌道は特に小さく、太陽系で一番内側の惑星である水星の公転周期が88日であるの に、Kepler-90iはたった14.4日で構成の周りを一周しています。 そのため、Kepler-90iの表面温度は640 ケルビンにも達し、我々の知っているような生命は存在で きないと考えられています。
<Movie 1 Kepler-90と惑星群の公転>
また、Kepler-90の惑星はかつては我々の太陽系のようにもっと広がっていたが、何らかの原因 で現在の軌道に移動したと推測されています。
今回、新たな惑星を発見したGoogleのAIは、脳の仕組みに似た数式モデルのニューラルネット ワークを使ったものであり、非常に高い精度で惑星のシグナルを識別することができます。 このAIはケプラー宇宙望遠鏡で観測された約20万個の天体のうちたった670個を解析しただけで 2つの系外惑星を発見しており、今後さらなる系外惑星の発見が期待されています。
<村嶋慶哉・山敷庸亮>
今回発見されたKepler-90iについての詳しい情報は以下の惑星Database ページを
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-90_iJP.html
主星Kepler-90についての詳しい情報は以下の恒星Database ページをご参照ください。