投稿者: exoplanetkyo

CoRoT 10 b

(Corot 10b の想像図 Ryusuke Kuroki, Fuka Takagi and Yosuke A. Yamashiki)

CoRoT-10 b は、太陽系から 1125.2 光年( パーセク)離れた恒星CoRoT-10 を周回する系外惑星で 2010 年に公開されました。恒星 CoRoT-10 は視等級 15.2, 絶対等級 7.5 です。この恒星は太陽の 0.9 倍の質量で、 半径は太陽の0.8 倍であり 表面温度は 5075 で、スペクトル型は K1Vです。この恒星の惑星系で CoRoT-10 b は、恒星 CoRoT-10 のまわりを 公転周期13.2 日で、 軌道長半径 0.11 天文単位 ( 15782575.4 km)で公転しています。

COROT-10bは、CoRoT衛星(Kepler宇宙望遠鏡に先駆けて、トランジット法による惑星探査を実施した衛星)が2007年に行った142日間の観測で発見された巨大惑星です(2010年に報告)。惑星半径は0.97木星半径で、中心星COROT-10の周りを周期13.4日で周回しています。中心星のCOROT-10は太陽より質量・半径ともやや小さい(質量0.89倍, 半径0.79倍)K1型星(表面温度5075K)星です。

特筆すべき事としては、この惑星の公転軌道の離心率が0.53±0.04と非常に大きく、真円から大きく離れた楕円軌道を取っていることが挙げられます。このような大きな離心率を持っている巨大惑星がなぜ存在しているかということは、惑星系形成過程を考える上で興味深いと言えます。

(Yuta Notsu)

CoRoT-10 bについてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

CoRoT-10 b (exoplanetkyoto.org)

ジャーナル記事

1.) Transiting exoplanets from the CoRoT space mission X. CoRoT-10b: a giant planet in a 13.24 day eccentric orbit

WEB記事

1.) CoRoT-10 b

2.) Planet CoRoT-10 b

論文

https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2010/12/aa14943-10/aa14943-10.html

浮遊惑星

(Image credit: Rina Maeda, SGH Moriyama high school)

浮遊惑星(Rogue Planets)とは、惑星程度の質量で、恒星・褐色矮星・その他の天体に重力的に拘束されず、銀河を直接公転している天体。形成された恒星系からはじき出されるメカニズムは、巨大ガス惑星の公転軌道移動に伴ってはじき出されたり、近くに大質量天体が通過してはじき出されるなど様々な要因が考えられるが、もちろん、通常の恒星のようにガス雲の重力崩壊により形成されたが小さすぎて中心部で核融合反応が起こらなかった浮遊惑星もある。浮遊惑星、準惑星など全てを惑星質量天体(PMO Planetary Mass Object – プラニモ Planemo)と称する。中心星からの輻射による熱源はないが、岩石惑星の場合内部熱源(放射性物質の壊変)が存在し、ガス惑星の場合圧縮により生成される遠赤外線を閉じ込めることにより熱を保持し大気を保持する可能性があると考えられている。銀河系の恒星の二倍の数があるとも考えられ、2017年2月にもマイクロレンズ法を用いた系外銀河の観測により系外銀河にも大量の浮遊惑星が存在している証拠がとらえられたばかりである。(山敷・佐々木)

CoRoT-7b

(CoRoT-7bの想像図 SGH守山高校 前田理那 画 ) 潮汐ロックされており、昼面は2000度以上、夜面は中心部に氷が残っている様子を想像した。


(CoRoT-7bの想像図 Credit: Ryusuke Kuroki, Yosuke Yamashiki )

CoRoT-7 b は、太陽系から 489.2 光年( パーセク)離れた恒星CoRoT-7 を周回する系外惑星で 2009 年に公開されました。恒星 CoRoT-7 は視等級 11.7, 絶対等級 5.8 です。この恒星は太陽の 0.9 倍の質量で、 半径は太陽の0.9 倍であり 表面温度は 5313 で、スペクトル型は K0Vです。この恒星の惑星系で CoRoT-7 b は、恒星 CoRoT-7 のまわりを 公転周期0.9 日で、 軌道長半径 0.02 天文単位 ( 2573083.4 km)で公転しています。

CoRoT-7bは2009年2月、COROTによりトランジット法を用いて発見された系外惑星です。いっかくじゅう座の中心部に位置し、太陽系から489光年離れており、その半径は地球の1.52倍と非常に小さく、発見された当時は最も小さな太陽系外惑星でした。また、公転周期は0.85日(約20時間)と極めて短く、恒星までの距離は257万㎞(0.02天文単位、太陽―水星間の距離の20分の1未満)と恒星に非常に近いところを公転しています。
CoRoT-7bはその密度からスーパーアースと分類されていますが、スーパーイオとみなす考え方もあります。
木星の衛星であるイオは、木星や木星のほかの衛星の重力による潮汐加熱で内部の温度が上昇し、火山活動が活発な衛星です。これと同じようにCoRoT-7bも、中心星CoRoT-7やCoRoT-7の他の惑星であるCoRoT-7cの影響を受け潮汐加熱が起きているのではないかと考えられているからです。
また、CoRoT-7bはその短い軌道長半径より潮汐固定が起きていて、恒星に常に同じ面を向けているため惑星の恒星に面した側は2000度以上にもなり、反対側はマイナス200度になるのではないかと考えられています(ExoKyotoでは、潮汐ロックされている場合昼面の温度は2110 K(アルベド0.1と仮定した場合), あるいは1982K(アルベド0.3と仮定した場合)と推定しています)。
地球と同じ岩石型の惑星と考えられているCoRoT-7bですが、その温度もさることながら恒星側の大地は溶けだした溶岩におおわれ、その反対側でも活発な火山活動が起きている可能性があるため、生命が存在する事は難しいでしょう。
(執筆 佐藤啓明 修正担当 山敷庸亮)
Victoria Jaggard (2010)「最も地球に似た系外惑星はスーパーイオ」(参照2018-1-19)

“AstroArts”  (2009) 「最小の系外惑星を発見」(参照2018-1-19)

“AstroArts” (2009)「最小系外惑星は、地球に似た岩石惑星か」(参照2018-1-19)

CoRoT-7のハビタブル・ゾーン

CoRoT-7のステラマップによる位地

CoRoT-7bの詳しいデータはデータベースの以下のリンクを参照
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/CoRoT-7_bJP.html

GJ667Cc

(潮汐ロックされている場合のGJ667Ccの想像図 Credit : Natsuki Shirako, SGH Moriyama High School)


(GJ667Ccの想像図 清水海羽 画 (SGH 守山高校ハビタブル研究会) )

GJ667Ccはさそり座に位置し、太陽系から22.3光年離れた恒星GJ667Cをまわるスーパーアースサイズの太陽系外惑星です。主星であるGJ667Cは三重連星であり、GJ667A、GJ667Bのさらに外側を周っています。

2011年に視線速度法にて発見された、地球質量の3.8倍のスーパーアースで、半径は正確ではないが、ExoKyotoの質量半径推定モジュールを用いると、地球の1.43倍と試算されます。
GJ667Cには少なくとも2つの惑星が周っていると考えられており、GJ667Ccは外側を周っています。主星までの距離は太陽地球間距離の12 %( 0.12 天文単位)と近いのですが、主星の温度が3,600Kと低いため、その黒体温度は262 K (潮汐ロックされている場合昼面は312 K)と見積もられており、ハビタブルゾーンの圏内に入っています。実際、GJ667Ccの、地球にどれくらい似ているか示す指標、ESIは0.84で、これまでに発見された系外惑星の中でもトップレベルです。さらに、赤色矮星は紫外線などの生命にとって有害な電磁波を出す量が少ないため、生命にとっては好都合だと言えます。このような理由で生命が住むには適した惑星として注目されてきたため、映画Alien vs Predator ではテラフォーミングされた惑星として登場しました。

GJ667Ccの惑星境界での輻射は1545 W/m2で、ほぼ地球 (1367 W/m2)と等しい。M型星であることを考慮するとしかし、赤外線成分が強く、より温室効果が進んでいる可能性もあります。海の存在も想定されるが、長年の輻射とM型星の進化過程により海が蒸発しきっている可能性もある。Kopparapu et al.によると、暴走温室限界のやや内側に位置するので、その可能性もありなす。

主星のGJ667Cは太陽質量の0.33倍、太陽半径の0.34倍のM1.5のスペクトルを持つ赤色矮星で、フレアの発生が考えられるが、具体的な観測データに乏しい。GJ667Ccの軌道長半径は0.125天文単位なので、フレア星であるならその影響は大きいと考えられ、大気組成によると生命に大きな影響がありうるとも考えられる。

Maehara et al.2016による温度だけによる最大フレアのエネルギーを予想すると、6.0 x 10^34 ergs となり、軌道長半径が短いので、太陽での最大フレアを地球境界でうける数万倍のエネルギーを受ける可能性があります。

GJ667Ccの詳しい情報は以下のページ

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_667_C_cJP.html

(梨元昴・山敷庸亮)

参考資料
http://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso1328/eso1328a.pdf


GJ667Ccのハビタブルゾーン(Kopparapu et al. 2013)


Stellar MapによるGJ667Cの位置

GJ667Ccについての情報は以下のリンク
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_667_C_cJP.html

Kepler-90 i (Kepler 90 System)

ケプラー90はスペクトルがG型の主系列星で、地球から2545光年も離れたりゅう座に位置してい ます。
質量、体積はそれぞれ太陽のおよそ1.13倍、1.2倍です。 太陽は表面温度が5778ケルビン、年齢がおよそ46億年であるのに対し、Kepler-90は表面温度 は5930ケルビンで、年齢がおよそ20億年であると推定されています。Kepler-90の見かけの等級は14で、人間の目では暗すぎて見えません。

<図1 Kepler-90の想像図 Image credit Fuka Takagi & Yosuke A. Yamashiki>

Kepler-90の注目すべき点は、太陽系と同じ数の惑星が見つかっていることです。 惑星が8個見つかっている恒星は太陽とKepler-90だけで、最多記録です。

<図2 Kepler-90惑星系 ExoKyoto Applicationを利用>

2017年11月14日、NASAとGoogleはKepler-90系において8番目の惑星Kepler-90iを見つけ たと発表しました。 Kepler-90iは、ケプラー宇宙望遠鏡から得られたデータをGoogleが開発した新しい機械学習シ ステムを用いて解析して発見されました。 NASAは同じシステムでケプラー80gという惑星も発見しています。

<図3 Kepler-90iの想像図 Image Credit Ryusuke Kuroki, Yosuke A. Yamashiki>

Kepler-90の惑星系の構造は太陽系に似ています。 内側の6個の惑星はどれも地球より少し大きいか、海王星よりも少し小さいくらいの岩石惑星で、 外側の二つの惑星は大きなガス惑星です。 特に一番外側の木星サイズの惑星Kepler-90hは、地球太陽間の距離と同じ距離(1.01 AU)で中心星Kepler-90の周りを公転周期331日でまわっています。

もちろん、太陽系とは違う部分もあります。Kepler-90の8個の惑星のうち最も外側にある惑星の軌道半径は地球の軌道半径とだいたい同じ になって、8個の惑星が太陽系の惑星よりもはるかに狭い範囲に押し込められています。 内側の惑星の軌道は特に小さく、太陽系で一番内側の惑星である水星の公転周期が88日であるの に、Kepler-90iはたった14.4日で構成の周りを一周しています。 そのため、Kepler-90iの表面温度は640 ケルビンにも達し、我々の知っているような生命は存在で きないと考えられています。

Kepler90Movie

<Movie 1 Kepler-90と惑星群の公転>

また、Kepler-90の惑星はかつては我々の太陽系のようにもっと広がっていたが、何らかの原因 で現在の軌道に移動したと推測されています。

今回、新たな惑星を発見したGoogleのAIは、脳の仕組みに似た数式モデルのニューラルネット ワークを使ったものであり、非常に高い精度で惑星のシグナルを識別することができます。 このAIはケプラー宇宙望遠鏡で観測された約20万個の天体のうちたった670個を解析しただけで 2つの系外惑星を発見しており、今後さらなる系外惑星の発見が期待されています。

<村嶋慶哉・山敷庸亮>

今回発見されたKepler-90iについての詳しい情報は以下の惑星Database ページを

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-90_iJP.html

 主星Kepler-90についての詳しい情報は以下の恒星Database ページをご参照ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-90JP.html

Ross 128 b (Proxima Virginis b)


(Ross-128bの想像図 Image Credit 稲垣遥 守山高校ハビタブル研究会)

(Ross-128bの想像図 Image Credit: Yosuke Yamashiki, Ryusuke Kuroki)
太陽系から11光年(3.4 パーセク)の彼方に新たなハビタブルな惑星が発見されました。質量は推計で地球の1.35倍(ExoKyotoでは推計値の1.31を用いている)、トランジットをしていないため正確な半径がわかりませんが、ExoKyotoに内装されている質量推定モジュール(Weiss & Marcy, 2014)によると、半径は地球の1.078倍と推計されます。主星はおとめ座のM型星で、星の推定温度は3192 K, 質量は太陽の0.16 倍の小さなM型星です。ハビタブルプラネットとしては、Proxima Cen bに次いで二番目に地球から近いということになります。フランス、グルノーブル・アルプ大学の研究チームがチリにある欧州南天天文台(ESC)の直径3.6メートル望遠鏡と高精度視線速度系外惑星探査装置HARPS*を用いて発見しました。恒星Ross128の周りを1周9.9日で回っています。惑星の黒体温度はBonfils et al. 2017 によると地球アルベドで269 K (ExoKyotoでは281 K), 金星アルベドで213 Kとなり、ハビタブルと判定可能です(地球の黒体温度は255 K)。
プロキシマ・ケンタウリは若い恒星で強烈なフレアを発生させるので、Proxima Cen bは生命が存在するには困難ではないかと考えられています。一方、恒星Ross128は赤色矮星で、薄暗く、自転周期が120日以上と見積もられており、それにともなって活動が穏やかで、スーパーフレアを頻繁に発生させないだろうと考えられています。そのため、大気の状態にもよりますが、液体の水が存在し、生命が存在する可能性もあるのではないかと考えられています。
2024年に完成予定の巨大望遠鏡ELTでの観測が始まれば、惑星の大気の組成なども調べられるようになると期待されています。

(坂東日菜・山敷庸亮)

詳しい情報は以下のデータベースページへ
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Ross_128_bJP.html

*HARPS ヨーロッパ南天天文台 (ESO)のチリのラ・シヤ天文台にある3.6m望遠鏡に設置された分光器で、視線速度法で太陽系外惑星の観測を行い、今まで130個以上の太陽系外惑星を発見している。トランジットしない惑星の発見と、質量の計測が可能。人類が始めて太陽系外惑星を発見したときに用いられたELODIEの改良型の第二世代の視線速度法探査装置で、ミシェルマイヨールらにより装置のスペックが決定され、人の歩く速度(3.5 km/h (0.97 m/s) )のトランジットの観測が可能である(有効精度としては30 cm/s)。そのため、恒星のまわりを公転する質量の小さい地球型惑星の視線速度法による観測が可能となる。

X. Bonfils et al. 2017. A temperate exo-Earth around a quiet M dwarf at 3.4 parsecs. Astronomy & Astrophysics manuscript © ESO

Ross 128 b (Proxima Vir b) の想像図 *潮汐ロックされていないと仮定

Ross 128 b (Proxima Vir b) のハビタブルゾーン(太陽系相当天文単位SEAU)と公転軌道

Ross 128 b (Proxima Vir b) のハビタブルゾーン(Kopparapu et al.)と公転軌道
ExoKyotoでは、Ross 128 bは地球型惑星のハビタブルゾーン限界のやや内側に計算されています。

Ross 128 b (Proxima Vir b) のハビタブルゾーン(Kopparapu Original)と公転軌道
ExoKyotoでは、Ross 128 bは地球型惑星のハビタブルゾーン限界のやや内側に計算されています。

Ross 128 b (Proxima Vir b) の大きさの比較

Ross 128 b (Proxima Vir b) のStellar Window上での位置

Ross 128 b (Proxima Vir b) のStellar Window上での位置