カテゴリー: 有名な系外惑星

GJ 832 c

GJ 832 c は、太陽系から 16.1 光年( 4.94 パーセク)離れた恒星GJ 832 を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 GJ 832 は視等級 8.7, 絶対等級 10.2 である. この恒星は太陽の 0.5 倍の質量で、 半径は太陽の0.4 倍であり 表面温度は 3300 ケルビンで、スペクトル型は M9である。この恒星の惑星系で GJ 832 c は、恒星 GJ 832 のまわりを 公転周期35.7 日で、 軌道長半径 0.16 天文単位 ( 24,234,855.1 km)で公転している。

GJ 832 cは、2014年に視線測度法によって発見されたスーパーアース型の太陽系外惑星です。中心星であるGJ 832から0.163AUの距離を周期35.68日で公転しており、質量は木星の0.017倍(地球の5.4倍)であると考えられています。Exokyotoによる推定半径は地球の1.5倍です。GJ 832は地球から4.94パーセク(16光年)の距離にある質量が太陽の0.45倍、表面温度が3590Kの赤色矮星(M型星)で、現在その恒星系にはGJ 832cを含め二つの惑星が確認されています。

GJ 832 cはハビタブルゾーン内の内側の境界線近くに存在すると考えられており、液体の水が存在する可能性が指摘される生物が存在できるハビタブル惑星の一つです。ただし、潮汐ロック(公転周期と自転周期が同期してずっと同じ面を中心星に向けている状態)になっていたり、地球の5.4倍という大きな質量を持っているため厚い大気を伴っている可能性がありその場合温室効果が強くなってしまう事が考えられたりするなど、いくつかGJ 832cがハビタブルでない可能性があります。ただし、潮汐ロックに関しては潮汐ロックでありかつハビタブルである事が可能ではないかという議論も存在します。また、GJ832cが大きな衛星を伴っており、GJ832c自身ではなくその衛星がハビタブルである可能性も議論されています。
文責:大山

参考
1)”GJ832c”.EXOKYOTO.http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_832_cJP.html

2)“The Extrasolar Planet Encyclopaedia – GJ832c”.
Exoplanet.eu. http://exoplanet.eu/catalog/gj_832_c/

3) Wittenmyer, R. A.; et al. (August 2014). “GJ 832c: A super-earth in the habitable zone”. The Astrophysical Journal.
https://arxiv.org/pdf/1406.5587.pdf

4) TILIPMAN D., VIEYTES M., LINSKY J., BUCCINO A. & FRANCE K.(December 2020).
 “Semiempirical Modeling of the Atmospheres of the M Dwarf Exoplanet Hosts GJ 832 and GJ 581”.
 The Astrophysical Journal.
https://arxiv.org/pdf/2012.11738.pdf

GJ 832 c について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_832_cJP.html

GJ 3293 d

GJ 3293 d は、太陽系から 58.4 光年( 17.9 パーセク)離れた恒星GJ 3293 を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 GJ 3293 は視等級 12.0, 絶対等級 10.7 である. この恒星は太陽の 0.4 倍の質量で、 半径は太陽の0.4 倍であり 表面温度は 3466ケルビン で、スペクトル型は M2.5である。 この恒星の惑星系で GJ 3293 d は、恒星 GJ 3293 のまわりを 公転周期48.1 日で、 軌道長半径 0.19 天文単位 ( 29,021,986.9 km)で公転している。

 

GJ 3293 d について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_3293_dJP.html

KOI-4427.01

KOI-4427.01 は、太陽系から 782.8 光年(240 パーセク)離れた恒星KOI-4427 を周回する系外惑星で 2015 年に公開された. 恒星 KOI-4427 は視等級 9.3, 絶対等級 2.4 である. この恒星は太陽の 0.5 倍の質量で、半径は太陽の0.5 倍であり 表面温度は 3813ケルビン で、スペクトル型は M0である。この恒星の惑星系で KOI-4427.01 は、恒星 KOI-4427 のまわりを 公転周期147.7 日で、 軌道長半径 0.42 天文単位 ( 62,681,507.8 km)で公転している。

KOI-4427.01 について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/KOI-4427.01JP.html

Kapteyn’s b

Kapteyn’s b は、太陽系から 12.8 光年( 3.91 パーセク)離れた恒星Kapteyn’s を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 Kapteyn’s は視等級 8.8, 絶対等級 10.8 である. この恒星は太陽の 0.3 倍の質量で、半径は太陽の0.3 倍であり 表面温度は 3550ケルビン で、スペクトル型は dM1である。この恒星の惑星系で Kapteyn’s b は、恒星 Kapteyn’s のまわりを 公転周期48.6 日で、軌道長半径 0.17 天文単位 ( 25,132,442.3 km)で公転している。

Kapteyn’s b について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kapteyn’s_bJP.html

Wolf 1061 c

Wolf 1061 c は、太陽系から 14.0 光年( 4.29パーセク)離れた恒星Wolf 1061 を周回する系外惑星で 2015 年に公開された. 恒星 Wolf 1061 は視等級 10.1, 絶対等級 11.9 である. この恒星は太陽の 0.2 倍の質量で、 半径は太陽の0.3 倍であり 表面温度は 3342 ケルビンで、スペクトル型は M3Vである。 この恒星の惑星系で Wolf 1061 c は、恒星 Wolf 1061 のまわりを 公転周期17.9 日で、軌道長半径 0.09 天文単位 ( 13,314,210.5 km)で公転している。

Wolf1061地球から蛇使い座、14光年の位置にあり、太陽に比べ、半径、質量ともに約3分の1と小ぶりな星になっています。表面温度も約3000度と、太陽の約5500度と比べて低くなっています。恒星は、大きくなればなるほど一般的に寿命が短くなってしまいますから、wolf1061は我らが太陽よりもずっと長生きであると予想されます。Wolf1061は今までの観測で三つの惑星を持っていることが観測されています。Wolf1061cはそれら三つの惑星のうち内側から二つ目にある惑星のことを指します。この惑星は質量が3.4倍あるスーパーアースに分類されます。HARPSによる観測により2015年に発見されました。HARPSとはヨーロッパ南天天文台が運用するチリのラ・シヤ天文台にある3.6m望遠鏡に設置された太陽系外惑星を見つけるための分光器のことです。この装置では恒星のスペクトルに現れる光のドップラー効果を測定し、惑星の公転が引き起こす恒星の動きから惑星を発見しています。この測定法を視線測度法といいます。
さて、このように発見されたwolf1061cですがこの惑星は地球-太陽間の距離の十分の一の地点を約18日周期で公転しています。この位置は液体の水が存在できるハビタブルゾーンにはいります。また、この惑星は現在発見されたハビタブル惑星の中で3番目に地球から近くなっています。(2019年1月現在)このようにかなり近い部類のハビタブル惑星なので遠い将来人類が初めて移住する太陽系外惑星になるかもしれませんね。
(大山 航)
参考文献

http://phl.upr.edu/projects/habitable-exoplanets-catalog

http://newt.phys.unsw.edu.au/~duncanw/Wolf1061.pdf

Wolf 1061 c について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Wolf_1061_cJP.html

tau Cet e

tau Cet e は、太陽系から 11.9 光年( 3.65パーセク)離れた恒星tau Cet を周回する系外惑星で 2012 年に公開された. 恒星 tau Cet は視等級 3.5, 絶対等級 5.7 である. この恒星は太陽の 0.8 倍の質量で、 半径は太陽の0.8 倍であり 表面温度は 5344 ケルビンで、スペクトル型は G8.5 Vである。 この恒星の惑星系で tau Cet e は、恒星 tau Cet のまわりを 公転周期162.9 日で、 軌道長半径 0.54 天文単位 ( 80,483,654.4 km)で公転している。

Tau Cet e のCet はCetusの略でくじら座を意味しています。くじら座を構成する恒星の一部は,国際天文学連合によって正式に固有名詞が定められており,「Tau Cet(くじら座タウ星)」もそのひとつです。この星のまわりを回る5つの惑星はHARPSという分光器を用いた視線速度法で発見されました。観測が行われた当時,Tau Cet 系の惑星はb, c, d の3つだと考えられていました。しかし,得られた観測データからノイズを取り除くことで,さらにふたつの惑星e, fの存在が示唆されました。

これらの惑星の中で主星から4番目に近い軌道を回っている「Tau Cet e」は,ハビタブルゾーンに位置する可能性があるそうです。主星までの距離は0.552 AUで,太陽系で言えば水星と金星の間あたりに相当します。そして,太陽と同じG型星である主星の質量および直径は,太陽の80%程度,明るさは50%程度と見積もられています。このことから,Tau Cet 系のハビタブルゾーンは太陽系のそれよりも内側にくることが予想され,このことから,ちょうど Tau Cet e はハビタブルゾーンに位置しているかもしれないそうです。

しかし,惑星がハビタブルであるかどうかを議論するには,単純に太陽との距離だけではなく,惑星自身の大きさや質量,さらには惑星大気による温室効果など,他の要因も考慮する必要があります。視線速度法では惑星の下限質量しかわからず,Tau Cet e に関する詳細な物理量はほとんどわかっていません。しかし,Tau Cet は地球から11.9光年という,比較的近いところに位置する恒星系ですので,tau Cet e のトランジット観測や大気分光観測が行われる日も近いかもしれませんね!
(文責:鈴木杏那)

参考文献:
Tuomi et al. (2012)”Signals embedded in the radial velocity noise”
Teixeira et al. (2008) “Solar-like oscillations in the G8 V star τ Ceti”
“NASA EXOPLANET ARCHIVE”

https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/index.html

tau Cet e について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/tau_Cet_eJP.html