カテゴリー: 系外惑星の紹介

Kapteyn’s b

Kapteyn’s b は、太陽系から 12.8 光年( 3.91 パーセク)離れた恒星Kapteyn’s を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 Kapteyn’s は視等級 8.8, 絶対等級 10.8 である. この恒星は太陽の 0.3 倍の質量で、半径は太陽の0.3 倍であり 表面温度は 3550ケルビン で、スペクトル型は dM1である。この恒星の惑星系で Kapteyn’s b は、恒星 Kapteyn’s のまわりを 公転周期48.6 日で、軌道長半径 0.17 天文単位 ( 25,132,442.3 km)で公転している。

Kapteyn’s b について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kapteyn’s_bJP.html

Wolf 1061 c

Wolf 1061 c は、太陽系から 14.0 光年( 4.29パーセク)離れた恒星Wolf 1061 を周回する系外惑星で 2015 年に公開された. 恒星 Wolf 1061 は視等級 10.1, 絶対等級 11.9 である. この恒星は太陽の 0.2 倍の質量で、 半径は太陽の0.3 倍であり 表面温度は 3342 ケルビンで、スペクトル型は M3Vである。 この恒星の惑星系で Wolf 1061 c は、恒星 Wolf 1061 のまわりを 公転周期17.9 日で、軌道長半径 0.09 天文単位 ( 13,314,210.5 km)で公転している。

Wolf1061地球から蛇使い座、14光年の位置にあり、太陽に比べ、半径、質量ともに約3分の1と小ぶりな星になっています。表面温度も約3000度と、太陽の約5500度と比べて低くなっています。恒星は、大きくなればなるほど一般的に寿命が短くなってしまいますから、wolf1061は我らが太陽よりもずっと長生きであると予想されます。Wolf1061は今までの観測で三つの惑星を持っていることが観測されています。Wolf1061cはそれら三つの惑星のうち内側から二つ目にある惑星のことを指します。この惑星は質量が3.4倍あるスーパーアースに分類されます。HARPSによる観測により2015年に発見されました。HARPSとはヨーロッパ南天天文台が運用するチリのラ・シヤ天文台にある3.6m望遠鏡に設置された太陽系外惑星を見つけるための分光器のことです。この装置では恒星のスペクトルに現れる光のドップラー効果を測定し、惑星の公転が引き起こす恒星の動きから惑星を発見しています。この測定法を視線測度法といいます。
さて、このように発見されたwolf1061cですがこの惑星は地球-太陽間の距離の十分の一の地点を約18日周期で公転しています。この位置は液体の水が存在できるハビタブルゾーンにはいります。また、この惑星は現在発見されたハビタブル惑星の中で3番目に地球から近くなっています。(2019年1月現在)このようにかなり近い部類のハビタブル惑星なので遠い将来人類が初めて移住する太陽系外惑星になるかもしれませんね。
(大山 航)
参考文献

http://phl.upr.edu/projects/habitable-exoplanets-catalog

http://newt.phys.unsw.edu.au/~duncanw/Wolf1061.pdf

Wolf 1061 c について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Wolf_1061_cJP.html

tau Cet e

tau Cet e は、太陽系から 11.9 光年( 3.65パーセク)離れた恒星tau Cet を周回する系外惑星で 2012 年に公開された. 恒星 tau Cet は視等級 3.5, 絶対等級 5.7 である. この恒星は太陽の 0.8 倍の質量で、 半径は太陽の0.8 倍であり 表面温度は 5344 ケルビンで、スペクトル型は G8.5 Vである。 この恒星の惑星系で tau Cet e は、恒星 tau Cet のまわりを 公転周期162.9 日で、 軌道長半径 0.54 天文単位 ( 80,483,654.4 km)で公転している。

Tau Cet e のCet はCetusの略でくじら座を意味しています。くじら座を構成する恒星の一部は,国際天文学連合によって正式に固有名詞が定められており,「Tau Cet(くじら座タウ星)」もそのひとつです。この星のまわりを回る5つの惑星はHARPSという分光器を用いた視線速度法で発見されました。観測が行われた当時,Tau Cet 系の惑星はb, c, d の3つだと考えられていました。しかし,得られた観測データからノイズを取り除くことで,さらにふたつの惑星e, fの存在が示唆されました。

これらの惑星の中で主星から4番目に近い軌道を回っている「Tau Cet e」は,ハビタブルゾーンに位置する可能性があるそうです。主星までの距離は0.552 AUで,太陽系で言えば水星と金星の間あたりに相当します。そして,太陽と同じG型星である主星の質量および直径は,太陽の80%程度,明るさは50%程度と見積もられています。このことから,Tau Cet 系のハビタブルゾーンは太陽系のそれよりも内側にくることが予想され,このことから,ちょうど Tau Cet e はハビタブルゾーンに位置しているかもしれないそうです。

しかし,惑星がハビタブルであるかどうかを議論するには,単純に太陽との距離だけではなく,惑星自身の大きさや質量,さらには惑星大気による温室効果など,他の要因も考慮する必要があります。視線速度法では惑星の下限質量しかわからず,Tau Cet e に関する詳細な物理量はほとんどわかっていません。しかし,Tau Cet は地球から11.9光年という,比較的近いところに位置する恒星系ですので,tau Cet e のトランジット観測や大気分光観測が行われる日も近いかもしれませんね!
(文責:鈴木杏那)

参考文献:
Tuomi et al. (2012)”Signals embedded in the radial velocity noise”
Teixeira et al. (2008) “Solar-like oscillations in the G8 V star τ Ceti”
“NASA EXOPLANET ARCHIVE”

https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/index.html

tau Cet e について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/tau_Cet_eJP.html

CoRoT 3 b

CoRoT-3 b は、太陽系から 2217.9 光年( パーセク)離れた恒星CoRoT-3 を周回する系外惑星で 2008 年に公開されました。恒星 CoRoT-3 は視等級 13.3, 絶対等級 4.1 です。この恒星は太陽の 1.4 倍の質量で、 半径は太陽の1.4 倍であり 表面温度は 6558 で、スペクトル型は F3Vです。この恒星の惑星系で CoRoT-3 b は、恒星 CoRoT-3 のまわりを 公転周期4.3 日で、 軌道長半径 0.06 天文単位 ( 8527078.6 km)で公転しています。

COROT-exo-3bは、茶色の矮星として知られている失敗した星のカテゴリに該当しますが、この発見を行ったチームは、それが惑星である可能性を除外しませんでした。茶色の小惑星は失活した星です。それらはリチウムを燃焼させますが、実際の星に電力を供給する水素とヘリウムの熱核融合を生成するのに十分なほど大量ではなく、熱核融合は起こりません。 物体は木星の質量の20倍の質量を持ちますが、おおよそ同じサイズです。現在までに発見された惑星は星の範囲外にあり、最大の惑星は12-Jupiter-mass、最も小さな星は70-Jupiter-massです。 天文学者が対象を惑星と確認すると、これまでに発見された最も巨大で高密度の惑星とみなされます。完全な研究は、天文学と天体物理学のジャーナルで詳述されています。 パリのInstitut d’Astrophysiqueの天文学者Francois Bouchyは、「COROT-exo-3bは、まったくの幸運で発見される珍しい物体になるかもしれない。 しかし、太陽よりも巨大な星を囲む非常に巨大な惑星の新しいファミリーのメンバーかもしれないが、我々は今、惑星の質量が大きいほど、惑星の質量が大きくなると考え始めている。」と語っている。

COROT-3はわし座に位置し地球から約1600光年の位置にある惑星系で、主星はF型主系列星(温度6740K、質量1.47太陽質量、半径1.56太陽半径)に分類されます。この系ではCoRoT missionのトランジット観測により、褐色矮星CoRoT-3b (別名COROT-exo-3b)が発見されました。なおこの発見を行ったチームは、巨大ガス惑星である可能性も示唆しています。褐色矮星は質量が小さいため、進化初期に重水素燃焼は起きるものの、水素とヘリウムの熱核融合は起こりません。 CoRoT-3bは、軌道周期が4.3日、半径が1.1木星半径・21.7木星半径であり、もしこの天体が惑星であった場合は、これまでで発見された中で最も巨大で高密度の惑星と考えられます。この様な天体が主星のすぐ近くを周回している事は、惑星移動過程・大気形成過程を考える上でも大変興味深い課題になります。

CoRoT-3 bについてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

CoRoT-3 b (exoplanetkyoto.org)

論文:

https://www.aanda.org/10.1051/0004-6361:200810625

ジャーナル記事

1.) The Rossiter-McLaughlin effect of CoRoT-3b and HD 189733b

2.) Transiting exoplanets from the CoRoT space mission, VI. CoRoT-Exo-3b: the first secure inhabitant of the brown-dwarf desert

3.) CoRoT’s first seven planets: An overview

WEB記事

1.) Huge Planet Defies Explanation

2.) 系外惑星の分類に疑問投げかける天体を発見

K2-3c

K2-3c は、太陽系から約144光年(45パーセク)の距離にある赤色矮星 K2-3 の周りを24.6日周期(軌道長半径0.14天文単位)で回る惑星で、2015年に発見された。

半径は地球の1.77倍、質量は地球の2.1倍と推定されている。密度が3.0g/cm3と地球(約5.5g/cm3)と比べると小さいため、ミニ海王星に分類される惑星であると考えられている。表面温度は344ケルビン程度であるため、全球海に覆われた惑星となっている可能性が高い。

一方、中心星であるK2-3は、太陽の0.6倍の質量、0.6倍の半径を持ち、表面温度は3,951ケルビンと見積もられている。視等級12.2、絶対等級9.1である。

(文責:佐々木 貴教)

K2-3 cについての詳しい情報はこちら

K2-3 c (exoplanetkyoto.org)

K2-3d

(K2-3dの想像図 Fuka Takagi, Hina Bando & Yosuke A. Yamashiki)

K2-3(別名 EPIC 201367065)は、地球から147光年の距離にあるM型星(表面温度3951K, 質量・半径は太陽の0.6倍程度)で、K2ミッション(ケプラー宇宙望遠鏡の第二期ミッション)によるトランジット法惑星探査が実施されてきました。K2ミッションでの観測によって2015年に3つの惑星が報告され、その後岡山188cm望遠鏡の高精度多色測光カメラMUSCAT等で惑星のパラーメータ決定精度を高めるためのフォローアップ観測が実施・論文が報告されるなどしています。

内側の惑星2つ(K2-3b, K2-3c)はそれぞれ、半径が地球の2.1倍, 1.7倍、中心星の周りを周回する軌道周期が10.1日と24.6日で、いわゆるスーパーアース(地球の数倍程度の質量・半径の惑星)に分類されます。

3つ目の惑星K2-3dは、地球の1.51倍の半径で、軌道周期が44.6日です。軌道長半径は0.21AUと太陽-地球間の距離(1AU)と比べるとかなり中心星に近い位置に位置しますが、中心星が温度が太陽よりも低いために、K2-3dはハビタブルゾーン(生命居住可能領域)の内側の境界付近に存在すると判定できます。

論文著者らの言葉によると、特にこのK2-3dについて、半径が地球の1.5倍程度の惑星であることから、地球に似た岩石惑星と揮発性元素が豊富な少し大きい惑星との境界に位置しうる惑星であること、さらに液体の水が表面に存在できる可能性があること、が示唆されます。

K2-3 dについて詳しく知りたい方はこちら
K2-3 d (exoplanetkyoto.org)

(Yuta Notsu)

ジャーナル記事

1.) Spitzer Observations of Exoplanets Discovered with The Kepler K2 Mission

2.) GROUND-BASED TRANSIT OBSERVATION OF THE HABITABLE-ZONE SUPER-EARTH K2-3D

 

WEB記事

1.) Potentially habitable super-Earth K2-3d observed transiting parent star

2.) Timing the Shadow of a Potentially Habitable Extrasolar Planet Paves the Way to Search for Alien Life

3.) K2-3d: Ground-Based Telescope Observes Super-Earth Transiting Bright Star

K2−3dは、太陽系から137光年(42パーセク)離れた恒星K2−3を周回する系外惑星で、2015年に公開された。

恒星K2−3は視等級12.2、絶対等級9.1である。

この恒星は太陽の0.6倍の質量で、半径は太陽の0.6倍であり、表面温度は3951ケルビンで、スペクトル型はM0.0Vである。

この恒星の惑星系で、K2−3dは、恒星K2−3の周りを公転周期44.6日で、軌道長半径0.2天文単位(31206115.8km)で公転している。