2010年にはHR8799の周りに、同じく直接撮像観測で4つ目の惑星HR8799eという惑星も発見されました(Marois et al. 2010, Nature)。
更にこれらの惑星たちの発見を機に、過去の画像を再解析してみたところ、実は1998年のハッブル宇宙望遠鏡の観測画像(図5)と、2002年のすばる望遠鏡の観測画像(Fukagawa et al. 2009, ApJ)にHR8799bが写り込んでいたことが分かりました。
Kepler宇宙望遠鏡で発見された惑星を始め、多くの太陽系外惑星はドップラー法やトランジット法といった間接法で発見されています。
一方太陽系外惑星自体からの光を直接捉える手法(直接法)の場合、惑星発見数は間接法に比べ少なめです。しかし惑星からの光には惑星大気に含まれる分子の吸収や惑星表面(陸、海、森など)の色の情報が含まれており、惑星からの光の分光観測は、惑星大気や表面の環境など、惑星自体の性質を詳細に知るためには欠かせない観測になります。2013年に報告されたHR8799c周りの惑星たちの分光観測からは、大気中の水やメタンなどの存在が示唆されています(Konopacky et al. 2013, Science )。日本でも近年、すばる望遠鏡を用いて太陽系外惑星の直接撮像観測が行われており、今後は京都大学岡山3.8m望遠鏡を用いた直接撮像観測も行われる予定です。
<Imaginary Picture of HD189733 b, Credit Daichi Ogawa, SGH Moriyama High School>
HD 189733 b は 2005 年に発見された木星サイズの太陽系外惑星で、こぎつね座 HD 189733 A 星の周りを 2.22 日の周期で回っています。太陽系からの距離は 62.9 光年(19.3 pc)です。軌道が主星から非常に近い「ホット・ジュピター」の一つで、恒星の重力により常に一つの面を主星に向けています。
同じく 2013 年にはチリの Very Large Telescope による波長分解能の高い詳細な観測から、惑星自体の H2O, CO ガス輝線放射が検出されたことでも話題になりました。そのほかこの年には、NASA のチャンドラと欧州の XMM ニュートンという2つの X 線天文衛星でこの天体を観測することにより、太陽系外の恒星の手前をその星を公転する系外惑星が横切る「トランジット」が、X 線で初めて検出されています。
(文責:野津翔太)
(Position in Stellar Map of star HD 189733 and its Exoplanet HD 189733 b)
(Zoomed position in Stellar Map of star HD 189733 and its Exoplanet HD 189733 b (zoom level 3))
TRAPPISTとは、TRAnsiting Planets and PlanetesImals Small Telescopesの略で、ベルギー・リエージュ大学(http://www.ulg.ac.be/cms/c_5000/accueil)の天文地学海洋専攻(AGO)のプロジェクトでチリのESO La Silla 天文台 とモロッコのOukaïmden 天文台(2016.10.6開始)に設置された望遠鏡ネットワークであり、このTRAPPIST-1は2016年にLa Silla天文台で発見され、地球よりわずかに大きな惑星が3つ、このクラスの赤色矮星の周りに初めて発見されました1) 。さて、特にこのTRAPPIST-1系のハビタブルゾーンにあると言われた3番目の惑星TRAPPIST-1dのトランジット観測による周期と軌道が確定せず、ハビタブルゾーンの惑星発見のニュースはキャンセルされるかと心配されていました。ところがそれがさらなる大発見につながったのです。
また、Kopparapu et al.2013によると、ハビタブルゾーンにある惑星は、d, e, f ,g となり、先ほどのcは内側境界の中に位置してしまいます。TRAPPIST-I dはしかしながらRecent Venusの内側に位置はしますが、暴走温室限界線の内側にあるので、そのままでは海洋は存在できませんが、潮汐ロックされている場合境界領域(terminator)に狭い海が存在しうるとも考えられます。TRAPPIST-I gはしかしながら、外側境界最大温室限界付近のため、十分な温室効果ガスがある場合のみ居住可能だと考えられます。
(Kopparapu et al. 2013 によるハビタブルゾーンとTRAPPIST-1b,c,d,e,f,g,hの軌道位置,赤線がRecent Venus境界線、緑色が薄い色からそれぞれ火星・地球・スーパーアースサイズの暴走温室限界線,その外側の薄青色が最大温室効果限界線(Maximum G), その外側の青が初期火星線(Early Mars)。この判定によるとTRAPPIST-1 e, f, gがハビタブルゾーンとなる)
(Position in Stellar Map of star TRAPPIST-1 and its Exoplanet TRAPPIST-1 b,c,d,e,f,g,h)
(Zoomed pos.in Stellar Map of star TRAPPIST-1 and its Exoplanet TRAPPIST-1 b,c,d,e,f,g,h)
1)Michaël Gillon, Emmanuël Jehin, Susan M. Lederer, Laetitia Delrez, Julien de Wit, Artem Burdanov, Valérie Van Grootel, Adam J. Burgasser, Amaury H. M. J. Triaud, Cyrielle Opitom, Brice-Olivier Demory, Devendra K. Sahu, Daniella Bardalez Gagliuffi, Pierre Magain & Didier Queloz. Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star, Nature 533, 221–224 (12 May 2016) doi:10.1038/nature17448, Received 11 January 2016 Accepted 18 February 2016 Published online 02 May 2016 http://www.nature.com/nature/journal/v533/n7602/full/nature17448.html
2)Michaël Gillon, Amaury H. M. J. Triaud, brice-Olivier Demory, Emmanuël Jehin1, Eric Agol, Katherine M. Deck, Susan M. Lederer, Julien de Wit, Artem burdanov, James G. Ingalls, Emeline bolmont, Jeremy Leconte, Sean N. Raymond, franck Selsis, Martin Turbet, Khalid barkaoui, Adam burgasser, Matthew R. burleigh, Sean J. Carey, Aleksander Chaushev, Chris M. Copperwheat, Laetitia Delrez, Catarina S. fernandes, Daniel L. Holdsworth, Enrico J. Kotze, Valérie Van Grootel, yaseen Almleaky, Zouhair benkhaldoun, Pierre Magain & Didier Queloz. Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1. Nature 542, 456–460 (23 February 2017) doi:10.1038/nature21360.
HD 164595 b は、2015 年に Courcol ら によって発見された、太陽系から 94 光年(28.9 pc)離れた距離にある海王星サイズの系外惑星です。
(Imaginary Picture of Warm Neptune HD164595 b)
中心星 HD 164595 は、太陽と同じ G 型星(G2V)で、表面温度は 5790 度、質量は 0.99 太陽質量と、太陽とほどんど同じです。そのため、HD 164595 恒星系のハビタブルゾーンは、太陽系とほとんど同じ位置にあると考えられます。それに対して、HD 164595 b は軌道長半径 0.23 天文単位(3441万km)と、水星軌道より随分内側を公転周期 40 日で一周し、質量が地球の 16 倍、半径が地球の 4.17 倍という、熱い海王星(Hot/Warm Neptune)だと考えられます。表面温度の計測結果はありませんが、惑星のアルベドを 0.3 と仮定すると、黒体温度が 531 ケルビン(摂氏258℃)と相当高くなり、地球型生命が住むには不適切な環境ではないかと想像できます。例えばこの惑星が大型の衛星を有していたとしても、その公転軌道(離心率は低い)から、ハビタブルゾーンに位置するのは困難であると考えられます。
(Imaginary Picture of Warm Neptune HD164595 b orbiting around its Host Star HD164595)
(ExoKyoto(アプリ版) による HD 164595 中心星の表示画面。中心星はG型星(G2V)で、その大きさの比較が、下の段の4つに記されています。左からハビタブル・ゾーン惑星が見つかったProxima Centauriとの比較、二番目が太陽との比較(大きさがほとんど同じ)、三番目がふたご座のポルックス(Pollux)との比較、一番右側がオリオン座のリゲル(Rigel)との比較)。ハビタブル・ゾーンの表示は、太陽系相当天文単位(SEAU)で、赤い線が金星軌道相当線、緑が地球軌道相当線、青が火星軌道相当線、で、この中心星データからの推定値では、ほとんど太陽系と一致しています)
(ExoKyoto による HD 164595 の公転軌道とハビタブル・ゾーン(Kopparapu et al. 2013 による)の表示。金星相当軌道より内側にあることがわかります)