カテゴリー: 系外惑星の紹介

K2-18b

K2-18 bの想像図 Haruka Inagaki

K2-18 bは、地球から約124光年離れたところにある赤色矮星(M2.5型)のホスト星K2-18の周りを公転周期32.9日で周回し、2015年に発見されました。この星のハビタブルゾーンは、ちょうど恒星から0.1-0.2天文単位の位置にありますが、0.14天文単位の位置を公転するK2-18bの質量は、地球の約8.9倍です。つまり、海王星型惑星か、水素が豊富な厚い大気の岩だらけの世界であるかのどちらかです。2019年9月に、K2-18bに水蒸気の可能性があることを示す2つの独立した研究が発表されました。これは、ハッブル宇宙望遠鏡で行われた観測によるものです。水蒸気は発見されましたが、トランジット法にて計測された半径は地球の2.3倍。まだこの惑星がガス惑星か岩石惑星かははっきりわかりません。ガス惑星である場合、惑星表面には硬い地面はなく、仮にあったとしても地球の数千倍の気圧の大気に押し潰されるでしょうし、内部の温度は非常に高いと想定されます。もし岩石惑星であったとしても、重力が大きいため、地球よりはるかに多くの大気を保持しているでしょうし、それは水素大気である可能性が高いです。そのため、まだハビタブルな惑星と同定するには少々早いですが、水蒸気が存在するということは、我々に非常に大きな期待を与え続けてくれるはずです。近い将来に惑星の詳細が解明されたときにはどのような姿を示してくれるでしょうか。

 Image via Alex Boersma/iREx.

K2-18bについてもっと知りたい人は、以下のデータを参照

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/K2-18JP.html

https://www.nationalgeographic.com/science/2019/09/first-water-found-in-habitable-exoplanets-atmosphere-hubble-kepler-k2-18b/

https://blogs.scientificamerican.com/observations/no-the-exoplanet-k2-18b-is-not-habitable/

https://www.space.com/alien-planet-k2-18b-water-vapor-not-earth-twin.html

https://exoplanets.nasa.gov/exoplanet-catalog/4847/k2-18-b/

系外惑星の放射線環境を推定


Kepler-283 cにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定


Proxima Centauri bにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定
Ross-128 bにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定
TRAPPIST-1eにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定

Teegarden b, c

Teegarden’s cの想像図。潮汐ロックを仮定
Imaginary Picture, Miu Shimizu

ドイツのゲッチンゲン大学の国際チームが、「カラー・アルト天文台」にある3.5m望遠鏡に設置されたCARMENES高解像度スペクトル分光計を用いて、非常に地球に類似の二つの惑星を発見した。

ティーガーデン星は地球からわずか12.5光年の位置にある赤色矮星で、表面温度はわずか2900K、質量は太陽のわずか1/10である。このように非常に温度が低く暗い星なので、近くにあるにも関わらず2003年まで発見されなかった。この二つの太陽系外惑星はいずれもハビタブルゾーンに存在し、岩石惑星である可能性がある。その公転軌道から、いずれも液体の水が存在する可能性がある。実際は、Teegarden bは液体の水がある可能性が高いが、Teegarden cは、大半が凍っており、一部だけ融解している可能性があるだろう。公転周期はそれぞれ、4.9日と11.4日である。ExoKyotoでの解析によると、Teegarden bはわずかに暴走温室限界の内側に位置している。

ティーガーデン星からの光はほとんど赤外線であり(ExoKyotoの合成スペクトルによると、94.97 % 赤外線で、可視光線はわずか4.95 %)、実際にはこの想像図のような青色、緑色はほとんど見えないだろう。

(文責:山敷)

Teegarden b, c についての詳しい情報はこちらをご覧ください。

Teegarden’s b http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Teegarden’s_bJP.html

Teegarden’s c http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Teegarden’s_cJP.html

References:

https://phys.org/news/2019-06-earth-like-exoplanets-red-dwarf-teegarden.html

http://www.mpia.de/news/science/2019-04-teegarden

http://phl.upr.edu/press-releases/teegarden

https://www.nationalgeographic.com/science/2019/06/two-potentially-life-friendly-planets-found-12-light-years-away-teegardens-star/

http://exoplanet.eu/catalog/teegarden’s_c/

https://arxiv.org/abs/1906.07704

GJ 699 b – Barnard’s star b

Barnard’s star b (GJ 699 b)

(Imaginary picture of Barnard’s star b – GJ 699 b   credit: Ryusuke Kuroki, Natsuki Hosono and Yosuke A. Yamashiki)

GJ 699 b(バーナード星 b)は、太陽系から約6光年に位置するM型星であるバーナード星のまわりを、一周233日で周回するスーパーアースです。中心星のちょうどスノーライン(水が凝結/昇華する温度の軌道)あたりに位置しており、表面温度は約105ケルビン(マイナス168℃)と推定されています。視線速度法によって発見されたため質量の推定も行われており、地球の3.2倍以上の重さであると考えられています。

バーナード星は、ケンタウルス座α星(三重星)に次いで太陽系に近く、単独星としては最も太陽系に近い恒星です。実は1960年代に、アメリカの天文学者ピート・ファンデカンプによって一度惑星が “発見” された星でもあります。そのため、1970年代には、バーナード星の周りには惑星が存在していることが “常識” となっており、バーナード星周りの惑星をテーマにした SF 作品なども数多く生まれました。しかし、この “発見” は他の望遠鏡によって確認されることはなく、後に観測装置によるデータ誤差であることが指摘され、「幻の惑星」となってしまったのでした。

今回発見された惑星は、彼が “発見” した惑星とは異なるものですが、多くの人々にとって非常に思い入れの深い星であるバーナード星の周りでの惑星発見ということで、世界中で大きな話題となっています。この GJ 699 b は、なんと 1997年6月〜2017年11月の20年間以上に渡り、複数望遠鏡による長期観測を続けた結果ようやく発見されました。1995年10月に最初の系外惑星が発見されたことを考えると、その直後からずっとバーナード星での惑星探しが行われていたことがわかります。ここにも、バーナード星に対する熱い思い、そして惑星発見への執念を感じます。

ちなみにこれまでの観測データからは、他のM型星の周りでよく見られる恒星のすぐそばを回る惑星は存在していないこと、またハビタブルゾーン内に地球サイズ以上の惑星は存在していないことも示唆されています。ということで、残念ながら太陽系のお隣の星には「第二の地球」はいなかったようですが、地球とは違うタイプの冷たいスーパーアースを題材とした新たな SF 作品がこれからたくさん誕生するかもしれませんね。

(文責:佐々木貴教)

以下、GJ 699 bについてのExoKyotoによる解析結果を掲載します。惑星の推定温度は発表論文によると105 ケルビン(マイナス168 ℃)と、木星のガリレオ衛星の表面温度程度で、一面氷の世界であると考えられ、惑星内部に何らかの熱源がないと、液体の水は存在できないでしょう。バーナード星からの放射エネルギーは平均27.49 W/m2と見積もられ、これは木星よりは小さいですが土星の倍程度となります。ですが、赤外線成分が多く(可視光線成分推定9.99 %, 赤外線89.81 %)直接熱に寄与するエネルギーが多いため、可視光域のアルベド以上に少し暖かくなることも考えられます。
視線速度法による測定のため惑星半径は見積もられていませんが、ExoKyotoでの推定値は半径地球の1.37倍(木星の0.12倍)程度です。

軌道は離心率0.32の楕円軌道を通るため、最も近づく距離でバーナード星から0.3天文単位より内側、遠ざかる場合0.5天文単位より外側に位置します。そのため極端な季節がみられるかもしれません。ただしスノーライン(太陽系の小惑星帯の位置)は公転軌道よりも内側に位置しており、Kopparapuによる最大温室効果限界を用いても最大温室効果限界の外側に位置することになり(いずれも0.13 天文単位程度)、論文で記載されている表現よりもずいぶん「寒い」惑星だと考えられます。

なお、恒星の活動性は低く、中心星からの十分な距離を考えても、フレアによる放射線影響は少なそうです。
(文責:山敷庸亮)

GJ699 bについての詳しい情報は、以下のデータベースページをごらんください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_699_bJP.html

Size of GJ 699 b – Barnard’s star b

(Orbit of GJ 699 b – Barnard’s star b)
Barnard

(Position of GJ699 b – Barnard’s star b)

(Position of GJ699 b – Barnard’s star b)

Kepler-62 System

Kepler-62は、こと座(Lyra)に位置し地球から約1,200光年の位置にあるK2型に分類される橙色矮星であり、5つの惑星を有している。Kepler-62は太陽の大きさのわずか2/3、明るさはわずか5分の1の大きさです。 星の年齢は70億歳で、太陽より少し年上である。

私たちの太陽系とよく似ているケプラー-62には、ケプラー-62fとケプラー-62e2つのハビタブルゾーンに位置する惑星が存在する。 Kepler-62fの一年は267日、地球に比べ40%だけ大きい、ハビタブルゾーン内に位置する最小の太陽系外惑星となっている。もう一つのハビタブル惑星、ケプラー-62eは、公転周期122日で、地球より約60%大きい。  ケプラー-62fのサイズは既知であるが、その質量および組成は知られていない。しかし、岩石である類似のサイズの以前の太陽系外惑星の発見に基づいて、科学者は会合によってその質量を決定することができる。  ケプラー62を周回する2つのハビタブルゾーンには、地球の大きさより大きい星二つと火星の大きさの星一つの計3つの星がある。 Kepler-62bKepler-62cKepler-62dは、それぞれ公転周期5日、12日、および18日で中心星を回るので、おそらく生命にとって暑すぎる環境であろう。

Kepler-62系は、こと座に位置し地球から約1,200光年の位置にある惑星系で、主星はK2型主系列星(温度4925K、質量0.69太陽質量、半径0.64太陽半径)に分類されます。星の年齢は約70億歳と考えられていて、太陽より少し年上です。
Kepler-62系にはKepler宇宙望遠鏡の観測により5つの惑星が発見されていますが、そのうちKepler-62fとKepler-62eの2つが惑星の表面に液体の水が存在できるハビタブルゾーンの中に存在します。 これらの2つの惑星はそれぞれ、軌道周期が122日・267日、半径が1.6地球半径・1.4地球半径です。それ以外の3つの惑星(Kepler-62b, Kepler62c, Kepler62d)は軌道周期が5.7日・12.4・18.2日、半径が1.3地球半径・0.5・2.0地球半径で、いずれもハビタブルゾーンより内側に存在します。なお、正確な質量・組成はまだ測定されておりませんが、いずれの惑星も岩石組成である事が期待され、今後の分光観測等での検証が重要です。

論文:

http://science.sciencemag.org/content/early/2013/04/17/science.1234702

[Imaginary Picture of Kepler-62 e: Credit Fuka Takagi and Yosuke A. Yamashiki]

科学者たちは最近、地球から1,200光年離れたケプラー62星系を周回する2つの系外惑星を発見しました。ケプラー62eとケプラー62fは、ケプラーミッションがスターの「ゴールドロックゾーン」で検出した最も小さな外惑星です。居住性に関しては、サイズが重要です。特にKepler-62eは、地球の60%以上の半径しか持たないため、地球のような岩石のような惑星であれば、同じ質量を持つ可能性があります。同様の質量(同じ重力を意味する)と大気を持つKepler-62eは、我々が知っているように、生命が存在することができます。実際、Kepler-62eは潜在的ハビタブル系外惑星のチャートを上回りました。

周期:122日

半径:地球の1.61倍

推定最大質量:地球の36倍

推定される最小質量(岩石組成に基づく):地球の4倍

Kepler-62 eは太陽系から1200.3光年(368パーセク)離れた恒星Kepler-62を周回する系外惑星で、2013年に公開されました。

恒星Kepler-62は視等級14、絶対等級6.2です。

この恒星は太陽の0.7倍の質量で、半径は太陽の0.6倍です。

表面温度は4869ケルビンで、スペクトル型はk2vです。

この恒星の惑星系で、Kepler-62 eは、恒星Kepler-62の周りを公転周期122.4日で、軌道長半径0.4天文単位(63878290.8km)で公転しています。

Kepler-62 f は、太陽系から 1043.7 光年( 320パーセク)離れた恒星Kepler-62 を周回する系外惑星で 2013 年に公開された. 恒星 Kepler-62 は視等級 14.0, 絶対等級 6.5 である. この恒星は太陽の 0.7 倍の質量で、 半径は太陽の0.6 倍であり 表面温度は 4869 ケルビンで、スペクトル型は K2Vである。 この恒星の惑星系で Kepler-62 f は、恒星 Kepler-62 のまわりを 公転周期267.3 日で、 軌道長半径 0.72 天文単位 ( 107,411,271.2 km)で公転している。

 

ジャーナル記事

1.) Kepler-62: A Five-Planet System with Planets of 1.4 and 1.6 Earth Radii in the Habitable Zone

2.) Mercury-T: A new code to study tidally evolving multi-planet systems. Applications to Kepler-62

3.) Water-Planets in the Habitable Zone: Atmospheric Chemistry, Observable Features, and the case of Kepler-62e and -62f

 

WEB記事

1.) The Math: What Life On Kepler-62e Would Be Like

2.) Kepler-62e

3.) Water Planets in the Habitable Zone: A Closer Look at Kepler 62e and 62f

Kepler-283 c

Kepler-283 c は、太陽系から1741.7 光年( 534パーセク)離れた恒星Kepler-283 を周回する系外惑星でトランジット法を用いて発見され、2014 年に公開された恒星Kepler-283 は視等級13.9, 絶対等級5.3 であるこの恒星は太陽の0.8 倍の質量で、半径は太陽の0.6 倍であり表面温度は4351 ケルビンで、スペクトル型はK5である。 この恒星の惑星系でKepler-283 c は、恒星Kepler-283 のまわりを公転周期92.7 日で、軌道長半径0.34 天文単位( 51,012,873.9 km)で公転している。惑星の質量は地球の3.97倍、半径は地球の1.82倍でスーパーアースに分類される。

NASAの発表によると、この惑星はハビタブルゾーンに位置している。また、ExoKyotoでも同様である。なお、Kepler-283 cは、ケプラー宇宙望遠鏡の観測期間に中心星(Kepler-283)からのスーパーフレアが観測された唯一のハビタブル惑星である。これを元に、フレアの発生頻度を考慮した推定放射線被ばく量が様々なケースで計算されたが、いずれも問題のないレベルであった(Yamashiki et al.2019 ApJ)。

Kepler-283の恒星系にはもうひとつの惑星Kepler-283 bがみつかっているが、この惑星はハビタブルゾーンよりも内側にあるホットジュピターである。(文責・山敷 佐藤)

Kepler-283c について詳しく知りたい方は以下のExokyotoのデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-283_cJP.html